ニャンザ☆ブログ(=^_^=)

自由気ままなブログです。お暇な方はどうぞ読んでいってください(^^)

“カタスミ” ①

 

 

 

『風船』

 

 

 

ぼくは歩いていた

いつものように歩いていた

何も思わず

何かを期待することもなく

 

ぼくは気づいていなかった

下を向いて歩いていることに

 

どこからか声が聞こえた

「顔を上げてごらんよ」

ぼくはゆっくり前を見る

  

そこに木が一本 立っていた

周りには何もない

少し貧相な面持ちで

申し訳なさそうに だが確実に 自分の足で

 

ぼくはその木を初めて見た

いや 初めて見た気がした

いつも歩いている道なのに

どうして見えていなかったのだろう

 

 

 

 

ぼくは歩いていた

いつものように歩いていた

何も思わず

何もない毎日を ただ

 

ぼくは疲れていた

前を見つめ歩き続ける日々に

 

どこからか声が聞こえた

「立ち止まってごらんよ」

ぼくはその場で立ち止まる

 

そこには木が一本 立っていた

前に見つけた木だった

どんなに寒い日も どんなに風が強くても

その木はそこに立っていた

 

ぼくはその木に触れてみた

きみかい?いつも語りかけてきてたのは

いつもただ通り過ぎるだけで

でも見守ってくれていたんだね

 

 

 

ふと上を見上げた

何故かそうしたいと感じた

木の枝に風船が一つ引っかかっていて

風にゆらゆら揺れていた

 

ぼくはそれをしばらく見つめ

やがてそれに向かって手を伸ばした